話し合いを無断で録音するのは違法?録音する場合の注意点を解説

2024.06.042024.06.04

話し合いを無断で録音するのは違法?録音する場合の注意点を解説

コールセンターに電話すると「この通話はサービス向上のため録音させていただきます」というアナウンスをよく耳にします。

会話や話し合いを録音することは、コールセンターや会議、商談、もめ事の話し合い、ハラスメント発言の証拠など、いろいろな場面で活用されています。

発言や重要な取り決めを後から確認できるので、「言った言わない」のトラブルを避けられる点が大きなメリットです。

このほか、議事録作成のためのメモ代わりなどのメリットもあります。

ところが、会話や話し合いを無断で録音すると、トラブルになるケースがあります。

無断で録音するのは違法なのでしょうか?

本記事ではこの疑問について、録音する場合の注意点も含めて解説します。

話し合いの無断録音は違法?

「無断で録音するのは違法なのでは?」と思う人は多いでしょう。

ところが話し合いを無断で録音することは一般に違法性が低いとされています。

盗聴との違い

相手に無断で録音するというと「盗聴」が思い浮かびます。

盗聴とは、自分が参加していない第三者の会話を、相手に気付かれないように盗み聞きしたり、電話を録音したりすることです。

盗聴罪という犯罪はありませんが、録音するために不法侵入したり、電話回線に盗聴器を仕掛けたりといった行為によって犯罪として処罰されます。

また、プライバシー侵害で損害賠償を請求される可能性があります。

秘密録音の違法性は低い

一方、自分が参加している会話や話し合いを相手に無断で録音することを「秘密録音」といいます。

秘密録音は、相手が自分に向けて話した内容を録音しているので、そこでは話の内容は公開されていると言えます。

このため、プライバシーを侵害する程度は低いと考えられ、ほかに犯罪行為がなければ違法性が低いとされています。

(とはいえ無断で録音したことをプライバシー侵害で訴えられるリスクはあります)

無断の録音が違法とされるケース

無断の録音が違法とされるケースもあります。

たとえば脅迫や暴力、不法侵入などの犯罪行為があれば違法です。

また、録音が禁止されている職場で、注意を受けたにもかかわらず無断で録音を繰り返した従業員の解雇が認められたケースがあります。秘密漏洩や職場環境の悪化という実害があるとされました。(東京地裁立川支部平成30年3月28日判決)

他方、録音には特に悪質な点がなくても、会話の相手方に無断で他人に公開すると、プライバシー侵害の程度が高く、不法行為による損害賠償責任を負う可能性があります。また内容によっては名誉毀損にも該当します。

秘密録音は裁判で証拠になる?

秘密録音は裁判で証拠として使われています。無断で録音したことだけを理由に証拠として却下されることはありません。

過去の裁判の判例では、無断で録音したテープの証拠能力について、「人格権の侵害」に当てはまるとした上で、「著しく反社会的な手段方法」で収集されたかどうかが基準となると述べました。この裁判では結論として酒席において無断で録音したテープに証拠能力が認められています。(東京高裁昭和52年7月15日判決)

秘密録音が証拠にならない場合もある

但し、全てのケースで秘密録音が証拠として認められるわけではありません。

大学の非公開のハラスメント防止委員会を無断で録音したケースでは、「訴訟上の信義則(民事訴訟法2条)に反する」として証拠能力が否定されました。(東京高裁平成28年5月19日判決)

この判決では、非公開の委員会を録音したこと、委員会の性質や運営上守秘義務が重要であり違法性が高いこと、録音内容に証拠価値が乏しいことが総合的に考慮されています。

また、脅迫や、立場の上下関係を利用して無理やり言わせた発言も証拠にはなりません。

話し合いを録音する場合の注意点

話し合いを録音する場合には以下に注意が必要です。

隠しどりは聞き取りづらい

無断で録音するときはよくカバンやポケットにスマートフォン等を隠して録音します。

しかし、カバンの中は音がこもりやすく、また録音機材がカバンや服と擦れる雑音が入り、内容が聞き取れないことが多いのです。

はっきり聞こえるように良い音質で録音するためのポイントは以下の通りです。

・ICレコーダーなど良い録音機材を使う

・テスト録音をして音量などを調整する

・重要な話し手の近くに録音機材を置く

・録音機材は音がこもらないところに置き、動かさないようにする

・車の音や周りの話し声などが入らないように、話し合いはなるべく静かな部屋などで行う

録音データの管理

録音した音声は、第三者に聞かせない・渡さないことが重要です。

無断で録音した話し合いや会話の内容を漏洩すると、プライバシー侵害や名誉毀損で損害賠償責任を負う可能性があります。

ほかの人が録音を公開してしまう危険性もあり、データの取り扱いにはご注意ください。

可能な場合には同意を得る

話し合いを無断で録音されると多くの人が不快に感じます。

無断で録音したことによって人間関係が悪化する場合もあり、また損害賠償を請求されるリスクも存在します。

可能な場合には録音することを伝え、同意を得ることをおすすめします。

インタビューや議事録作成のための録音でも一言断るのがマナーです。

重要な合意を念のため録音したい場合や、「言った言わない」トラブルに備えたいときにも、お互いの利益になることを説明して録音した方がいいでしょう。

同意を得て録音すると、録音機材を良い状態で置けるため、聞き取りやすい音で録音できるというメリットもあります。

録音した音声を文字起こしする方法

録音した音声は文字に変換して使うのが一般的です。

裁判の証拠として使用するときには、録音された音声を正確に文字に書き起こした「反訳書」を作って提出します。

議事録など文書を作る際にも、一部または全部を文字に書き起こして利用します。

録音は音声で聞くと実際の会話と同じ長さの時間が必要ですが、文字に変換すると短い時間で読めるようになり、またPCやスマホで加工できて便利です。

文字起こし方法の選び方

音声を文字に書き起こすことを文字起こしといいます。

文字起こしの方法には3種類あり、自分で文字起こしをする場合には録音を聞き取って文字を入力します。但し、非常に時間がかかり、長い録音を文字起こしするのは大変です。

メモ代わりの録音など気軽な目的で使う場合は、自動文字起こしのツールやサービスを使うと便利です。文字起こしのスピードが速く、PCやスマートフォンで手軽に使えるというメリットがあります。

一方、裁判に証拠として提出するなど正確さが求められる場合は、専門業者に依頼して専門スタッフの手で文字起こしをするのがおすすめです。安心のクオリティで、信頼感のある文字起こしを作ることができます。

コエラボでは裁判用に厳格な手続きで文字起こしを行い、コエラボが第三者として文字起こしをしたという証明書を発行いたします。

また、プライバシーの保護や情報セキュリティについてもISO 27001認証を取得。機密性が高い情報の文字起こしにも安心してご依頼いただけます。

まとめ・話し合いの無断録音は慎重に

本記事では「話し合いを無断で録音するのは違法?」という点を中心に、注意点を含めて解説しました。

話し合いや会話を無断で録音することは違法性が低いと考えられていますが、一方で人格権の侵害で訴えられるリスクは存在します。

可能であれば同意を得て録音し、良い音質で録音することをおすすめします。

裁判など信頼性が必要な目的で録音データを使用する際は、コエラボに文字起こしをご依頼ください。迅速に安心のクオリティでお届けいたします。